(138)龍神の雨

龍神の雨

龍神の雨

添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に合わせたから。――そして、死は訪れた。降り続く雨が、四人の運命を浸してゆく。彼らのもとに暖かな光が射す日は到来するのか? あなたの胸に永劫に刻まれるミステリ。大藪春彦賞受賞作。

道尾作品らしい道尾作品というか。綺麗にガツンと。「はじめの一歩」で見えないところからのパンチが一番効くみたいな話があったけど道尾作品のトリックはそういう感がある。まぁ叙述物は殆どそうじゃんってのがあるとは思うけど、道尾作品はアンフェア感が少ないからこそ余計そう思うのかも。他の叙述物だと見えないところからの打撃という点では一緒でもボクシングなのにパンチじゃなく鈍器だったりするからなぁ。それはそれで好きですけど。本作の感想としては少し個々の感情の後付感を少し感じてしまった。あと最初は「青の炎」かよと思った。そしてどんでん返しがあっても辰也君は楓の体操着をパクってたのは事実というのは忘れてはいけないと思います。