(125)赤目四十八瀧心中未遂
- 作者: 車谷長吉
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/02/09
- メディア: 文庫
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「私」はモツを串に刺し続けた。女の背中には迦陵頻迦の刺青があった……。救いのない人間の業と情念を見事な文章と技法で描く傑作
チョモのオグに車谷長吉が面白いといわれたのでとりあえず図書館にあった借りてみた一冊。たしかに面白かった。西村賢太作品が好きな人なら問題無く嵌れるだろう。両者とも共通しているのは「破滅型」というべき私小説家という点か。むしろそういう「破滅型」じゃない私小説家っているんだろうか。このジャンルはあまり詳しくないので良く分からないところだけど。いずれにしろ量を読んで楽しむよりも質で楽しむジャンルだなと思う。むしろジャンルという言葉の軽薄さも適切でないような。「モツを刺して暮らす生活」というのは少し憧れるような。本筋とは関係無いけど関西出身の人が書く関西弁って関東の作家が書く関西弁と明らかに違うなと改めて思った。別に関東の作家が書く関西弁がわざとらしいというわけではないのだけど関西の作家が書く関西弁を読むと「しっくりくる」とつい思ってしまう。音声化していないのにそう思うのはリズムのせいか言い回しの豊富さか。本作品でもその関西弁が作品の生々しさを更に生み出しているように思う。