(124)氷菓

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。

毎週楽しみにしているアニメがそろそろ終盤ということでそろそろ古典部シリーズを読み始めようと思い1作目の氷菓を。先にアニメを見ているせいで原作とアニメとの差異を探して読んでしまったが基本的にはかなり原作準拠なんだなと思った。壁新聞部でのくだりはアニメのほうが分かりやすいと思ったが、最後の氷菓の謎を解くシーンの説得力と切実さでは原作のほうが良かったように思う。ミステリファンとしては北村薫の私シリーズの「日常の謎」系譜をなぞる佳作として位置づけることは出来るけど、一般読者特にライトノベルとしては地味なのは事実。そういう意味ではアニメ化は千反田のキャラクター力を強めて印象付けることに成功していると思う。ただ原作の千反田のキャラクターも米澤作品の登場人物らしくてよいと思う。引き続き続刊も。