(096)ハサミ男
- 作者: 殊能将之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/08/09
- メディア: 文庫
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舞台は2003年の東京。女子高生2人が同様の手口で殺害される事件が発生していた。2件とも被害者の喉にハサミが深く差し込まれていたことから、マスコミは犯人を「ハサミ男」と命名。ハサミ男は連続猟奇殺人犯として世間の耳目を集めていた。
一方、ハサミ男は3人目の犠牲者を選び出し、入念な調査を行っていた。しかしその調査の中で、自分の手口をそっくり真似て殺害された犠牲者の死体を見つける事となる。先を越されてしまったハサミ男は、誰が殺害したのか、なぜ殺害したのかを知るため調査を開始する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%B5%E3%83%9F%E7%94%B7
模倣犯を模倣されている側が追うという設定だけで面白いのに、本作では倒叙的な要素もありながらそれを覆す叙述トリックが巧みにしかけられている。これに気付く人はいないだろう。単純ゆえに騙されたら悔しいだろうなと思う。とはいえ自分は読む前にネタバレを偶然見てしまったので真のハサミ男は最初から知ってはいたのだけど。oh...。ということで最初から犯人を知ったまま読んだのだけどこれはこれで新鮮で面白かった(ただそれは普通は2周目の楽しみ方なんだけど...)ギリギリフェアな書き方してるのが面白かったけどもう少し匂わせても良かったかなとも思ったが結構書評を見ると色々比喩などでヒントはあったらしい。全然気付かなかった。最後の台詞が良かったなぁ。むしろ最後の台詞があったからこそ「はさみ男」の動機の不明瞭さの正当化が逆説的に成功しているように思える。ネタバレしていても傑作ということで。