(094)スキップ

スキップ (新潮文庫)

スキップ (新潮文庫)

17歳、高校2年生の一ノ瀬真理子は、文化祭の日の夕方、昼寝から目覚めると自分が25年後の世界にいて、夫も子どももいる境遇におかれている事を知る。失われた年月の大きさを思いながら、それでも前向きに生きていこうと真理子は決意していく。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9D%91%E8%96%AB#.E6.99.82.E3.81.A8.E4.BA.BA_.E4.B8.89.E9.83.A8.E4.BD.9C

北村薫作品初読。未読作家開拓は続行中。「時と人三部作」の一作目。読みながらすぐ連想したのは米澤穂信の「ボトルネック」と東野圭吾の「秘密」。両作品とも本来過ごすはずの無かった時間軸で生きるというキーワードがあり、そして両作品とも割りと救えない結末。本作品はどうなるのかと思って読んでいたのだが、ネタバレすれば前述した2作品でいえば「秘密」のような結末で驚いた。正直普通に元の時間軸に戻ると思っていたので、あまり好ましくないタイプの予想外の結末。あまりにも理不尽すぎる。前述した2作品の結末はたしかに救えないかもしれないが当然の帰結ともいえる内容である程度は納得出来る。ただ本作品に関しては主人公は一方的に奪われるのみ。読後感はそれほど悪くなかったのだけどこうやって感想を書いてみると意外と酷い話だなと思った。ミステリ成分はかなり低めだったのでそこも個人的には残念。