(093)扉は閉ざされたまま

扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル)

扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル)

大学時代、軽音楽部に所属していた酒好きの6人が作った有志「アル中分科会」。仲間の1人の発案で、卒業以来初めて同窓会を開くことになった。
その会の場で、伏見亮輔は、仲の良かった後輩・新山を殺害する。彼はある理由から遺体発見を遅らせるために、ごく自然な理由を並び立て、扉を開けさせまいとする。だが、碓氷優佳だけが部屋の様子を不審に思い、鋭利な推理で伏見を徐々に追い詰めていく。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%89%E3%81%AF%E9%96%89%E3%81%96%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%BE%E3%81%BE

現代ミステリと思えないぐらいシンプルな密室。でも非常によく出来た密室モノ。個人的には扉が破壊出来ない設定づくりが上手いと思った。あと最後の締めくくりが小粋。内容としては文頭で犯人による殺人描写があるといういわゆる倒叙モノ(刑事コロンボ古畑任三郎が代表的)今回読んでみて改めて思ったのはこの倒叙モノは自分に合わないということ。大抵探偵役よりも犯人のほうに肩入れしてしまう傾向があるので終盤になればなるほど辛くなり探偵役がうざったくすらなる。特に本作品の探偵役は苛々させるものがあった。小市民シリーズの小鳩君が小市民であろうとする理由が「昔から探偵の真似事をやって人から嫌われるから」といったものだったように思うが確かにこれは嫌われるわ。前回読んだ「月の扉」と比較すると本作のほうが犯人と探偵の駆け引きが緊迫感があって面白く違和感が感じるとこも少ないのだけど、ミステリとしての魅力は地味である分総合的には「月の扉」のほうが好き。動機は両作とも常人には理解出来ない内容ですが(笑)