(090)ささらさや

ささらさや (幻冬舎文庫)

ささらさや (幻冬舎文庫)

事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された!ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。連作ミステリ小説。
(「BOOK」データベースより)

加納朋子作品は初読。未読作家開拓中。米澤作品との関連で日常ミステリの書き手として挙げられていたのでとりあえず有名作を最初に読んでみた。たしかに日常ミステリだけど米澤作品と比較してみたときの違いとしては、米澤作品の場合「ミステリ」の対象が「謎の探求」なのに対して本作品では「犯罪行為」だったりするところだろうか(勿論本作品だけでの比較なので他作品では違うのかもしれないけど)本作品の雰囲気自体は非常にまったりとしているのだけど意外とやられていることは詐欺、盗難、誘拐などえげつない。世界は悪意で溢れているというのがメッセージなのかとすら思う。とはいえ読後は非常に良い作品。最後の一言は素敵。ガチガチのトリック、謎解きものではないけどこういう日常ミステリも面白い。