(087)カラスの親指

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは。
内容(「BOOK」データベースより)

最近読んだ作品では個人的ベスト作品。読後に多幸感に包まれた。本当に「向日葵の咲かない夏」の作者なのかよと思ってもしまったぐらい(笑)トリック、仕掛け的には意外とオーソドックスな気がするが(勿論色々組み合わせてあることで結果的には全然単純な仕掛けではないのだけど。実現性よりパズル要素強め?)本作品の良いところは仕掛けそのものではなくて、読んでてカタルシスが何度も訪れるような仕掛けの配置だと思う。推理や予想するのも楽しいと思うけど娯楽小説として読むのもありかと。映画化というのも納得。ただ、非常に面白かったし今まで読んだ道尾作品では一番好きだと思ったけど意外と人に勧めるのは「向日葵〜」だったりするのかなとも改めて思ってしまった。あの作品の特異性、異常な熱量は色々な作品を読むと余計際立つように思う。