(086)イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

合コンで知り合ったマユと付き合い始めた僕・たっくんは、順調に愛を育んでいくが……。
「読み終わった後は必ずもう一度読み返したくなる」と銘打たれた作品。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%96

久々に煽り文句に偽り無し!の一作。少し前から話題の作品をやっと読めたけど見事に騙された。いや、騙されたというより仕掛けに驚いたのほうが正確か。最近では叙述物って全然分からないと読後に「バーカ」と言われているような被害妄想をしてしまうので読んだ後の消耗感が酷い。特にこの作品では最初から叙述物だと分かっていただけにより一層。解説まで含めて一つの作品だと思うので文庫版を読むのが正解。何を書いてもネタバレになりそうなのだけど、某ミステリ評論誌で本作品は「ミステリ作品としては邪道」と書いてあって、読む前は単なる捻くれた意見の一つなのかと思っていたが読後はある程度納得。個人的な意見では叙述物としては傑作とはいえるけど、叙述"ミステリ"の傑作として断言しづらいというところ。狭義のミステリと広義のミステリの捉え方次第でミステリ好きには評価は分かれるとは思う。読後に色んな人に感想を聞きたくなる作品。ただ所謂叙述物を人に勧めるのだったら、今までは個人的には「殺戮に到る病」だったけどこの作品はスプラッタ要素が強すぎるので人を選ぶかなと思っていたけど、今後は本作を勧めるとは思う(まぁ勧める人がそもそもいないが)