(069)秘密

秘密

秘密

杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。妻・直子と11歳の娘・藻奈美との3人で暮らしていた。1985年冬、直子の実家に行くために、直子と藻奈美の2人が乗ったスキーバスが崖から転落してしまう。直子と藻奈美は病院に運ばれたものの、直子は死亡してしまい、藻奈美は一時は回復不能といわれたにもかかわらず、奇跡的に助かる。しかしそれは、仮死状態になった娘・藻奈美の身体に、死んでしまった妻・直子の魂が宿っていたのだった。藻奈美の身体に宿った直子に、平介は戸惑いながらも周囲には決してバレないように生活する。やがて月日はたち、娘の身体に宿った妻との生活に、次第に心のずれが生じてくる。そして直子は、医学部を目指して進学校とされる高校を受験し、見事合格する。奇妙な二人の生活が限界を迎えたある日、長らく消えていた藻奈美の意識が再びあらわれる……。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%98%E5%AF%86_%28%E5%B0%8F%E8%AA%AC%29

イメージと全然違ってて驚いた一作。ご存知超有名作だが何となく読んでなかった。ただ、広末涼子が主演していた本作映画のCMを頻繁に見ていて、当時は入れ替わり物だからハートフルコメディというイメージを勝手に保持し続けていたのだけど、実際読んでみたらそんなこともなく終始シリアスな話だった。絶対有り得ない話なのだけど、仮にそうなったら有り得そうな出来事が具体的且つ巧みに展開されている。その為正直中盤は読んでて辛いものがあった。個人的には物語としては綺麗にまとまっているとは思うけど我が身に置き換えるとハッピーエンドとは到底言えない結末。とはいうものの最初から喪失していることは決定済みなのでしょうがないともいえる。東野圭吾に抵抗がある人も是非読んで欲しい作品。自分も東野作品は読みやすいけど印象が弱く内容がいまいち思い出せない(記憶力の問題もあるけど...)ケースが多い作家というイメージも持っていたのだけど、本作を読んでそのイメージが完全に払拭された。評判の高い「百夜行」も読んでみようかと。