(053)ボトルネック

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

話の筋としては、主人公が好きだった少女が亡くなった東尋坊で急に気を失った後に何故か自宅近くの公園で目覚める。自宅に戻ると知らない女性がいた。話していくうちに主人公がこの世界には存在していないことが分かり、同時にその女性は主人公の世界では流産で亡くなった姉らしき存在であることも分かってきた。そして主人公と姉の世界ではいくつかの点が決定的に異なっていた…。青春SF小説と見せかけての鬱小説。いい意味で後味が悪い。最後に少しの毒を入れるのは米澤作品の特徴かもしれないが、本作品ではそれが顕著に出ている。好みは人により別れるところかもしれないけど、悪意からではなく作品としての完成度を高める為の鬱展開と思われるので不快な気持ちは特に無く個人的には好きではある。余談だけど個人的に喪失感を感じるのは、バッドエンドよりもハッピーエンドのほうが多い気がするけど何なんだろう。