(047-048)悪の教典

悪の教典 上

悪の教典 上

悪の教典 下

悪の教典 下

晨光学院町田高校に教鞭をとる蓮実聖司。彼にはある秘密があった...。
↓以下ネタバレ含む感想







貴志祐介作品は初めてだったのだけど、非常に面白かった!久々にページが止まらない体験が出来た。但し理不尽な殺戮描写多めなので結構読み手を選ぶかもしれない。ジャンルとしてはサイコホラーということだけど上巻は蓮実が校内での自分の地位を維持するための短編的な策略劇、下巻では蓮実による2年4組の殺戮劇と上下巻で少しテイストは異なるかもしれない。個人的には上巻のテイストが好みなのだけど下巻も全く問題無く面白い。個人的なイメージで例えるならば「バトルロワイアル」と「ハンニバル」を足して割った感じ。両作苦手な人は絶対合わないとは思う。但し「バトロワ」が生徒同士の殺し合いであるのに対し、本作では大人による高校生の殺戮で更に不快感を増しているし、「ハンニバル」のレクター博士が完全無欠のサイコキラーであるのに対し、本作の蓮実は少し抜けているように思えるが。例えばモモを玉葱入りハンバーグで殺そうとする下り。疑いがかけられそうなことをわざわざする時点で少し幻滅はした。もっと完璧だったら良かったのにとは思う。とはいえかなり良キャラなので最後まで逃げ切って欲しいとも思ったぐらい。アメリカでの因縁も残っていることだし、それこそレクター博士のように脱獄して続編いけそうな。あと最後は安原美彌は蓮実の子を孕んでるんだろうなとか思ってたらそんなことは無かった。というか、殺しを躊躇をする場面は何だったのかなと思ってたらインタビューで補足されてた。(→)作中だけで説明しないというのはフェアなのかどうかはともかく他の作品も至急読んでみようと思っているところ。