(049-050)秋期限定栗きんとん事件(上)(下)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

「小市民」シリーズの3作目。冬期が出るまで待ってから一気読みしようかと少し考えてはいたが、結局読んでしまった。相変わらず面白かったです。ただ、前2作との相違点は結構あって、今までは語り部が小鳩だけだったのが今回は語り部が小鳩と新聞部員の瓜野の2人になっていたり、小山内さん以外の女性と話す小鳩の場面が描かれていたりと、主要登場人物の3人(小鳩、小山内、堂島)が第3者からだとどのように見えるのかが前2作との大きな違いかもしれない。例えば堂島は今まで2作だとがさつで無鉄砲な人間という描写だったと思うが、それはあくまでも小鳩からの視点であって、第3者の瓜野から見ると堂島はしっかりした人間として描かれている。(ただ、それは夏季限定事件を受けての成長かもしれないが。)今まで小鳩と小山内が社会に上手くコミット出来ない原因は自分の資質と話していたが、今回のように第3者の視点であることで実際にどのようにコミット出来ないという過程が描かれていて2人の「気持ち悪さ」が3作の中で一番分かりやすく描かれてたと思う。結果的に第3者は単なるピエロに終わってしまったわけだし。ミステリ自体だけども犯人の目星は結構すぐつくとは思う。ただ、ミスリードのとこは結構なるほどと思った。小山内さんの「復讐」が結局何だったのか読み終わる直前まで分からなかったけどが最後の1行で解決。上手い。まぁ酷いと思う人もいるかもしれないけど。ボトルネックが今手元にあるのでそちらも近日中に読みたいところ。余談だけど本作読了後に寝たら高校時代の夢を見た。夢の内容は楽しかったけど少し切ない気分になった。