(019)MOMENT

MOMENT

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昨日に引き続き、本田作品を。
『とある病院ではある噂が流れていた。それは黒ずくめの男が死期が近い患者のもとに現れ、彼らの願いを叶えてくれるというものだった。』
同じテーマを元にした4つの短編。「願いを叶える」という響きに反し、その願い自体もその結末も決して明るい内容では無い。バッドエンドというわけではないので読後感は悪くないけど。ジャンルとしてはミステリーなのだろうけど、それほど謎や謎の解決自体が物語の根幹となっているわけでもなくて、村上春樹作品とかに近い感じ。
ていうかこれを読んで村上春樹の書く「達観して客観的な発言を繰り返し惚れられることが多い男」のレベルの高さを思い知らされたような。もはや漫画やアニメやラノベ等でテンプレートと化している主人公像だけど、村上春樹が違和感が無いというか。逆にいえば村上作品を既に読んでいればそれほど開拓しなくてもいいかと思ったり。とはいうものの続編に近い「WILL」は読もうかなと思っている。