(121)霧越邸殺人事件

霧越邸殺人事件 (新潮文庫)

霧越邸殺人事件 (新潮文庫)

或る晩秋、信州の山深き地で猛吹雪に遭遇した8人の前に突如出現した洋館「霧越邸」。助かった…安堵の声も束の間、外界との連絡が途絶えた邸で、彼らの身にデコラティブな死が次々と訪れる。密室と化したアール・ヌーヴォー調の豪奢な洋館。謎めたい住人たち。ひとり、またひとり―不可思議極まりない状況で起こる連続殺人の犯人は。驚愕の結末が絶賛を浴びた超話題作。

少し前に読んだ作品なのでうろ覚えなのだけど「殺人鬼」や「another」もそうだけど綾辻行人の本格推理のロジカルと超常現象の相反する要素をしれっと混ざるのが本当に上手い作家だなと思った記憶がある。ただ本作に関してはその後者の「遊び」が強く出すぎているように思えた。それはそれで個人的には好きなのだけど。トリック自体はそれほど目新しいものではなかったかもしれない。まぁ20年以上前の作品に目新しさを求めるのはおかしいだろうけど...。とはいえ最後まで一気に読めた。最高傑作ではないにしろ読んで損無しの一作というところ。