(082)造花の蜜

造花の蜜

造花の蜜

息子の圭太を幼稚園に迎えに行った帰り道、立ち寄ったスーパーで母親の香奈子が知り合いと立ち話をしていた少しの間に、圭太の姿が見えなくなってしまう。近頃、無言電話や誰かに尾行されているような恐怖を感じていた香奈子はとっさに「まさか誘拐では」と思うが、圭太はすぐに見つかった。だがその帰路、圭太から「お父さん」を名乗る男に車に押し込められそうになり、本当に誘拐されそうになったと聞かされる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A0%E8%8A%B1%E3%81%AE%E8%9C%9C

これぞ連城作品という感じ。前回読んだ「恋文」で物足りなかったトリック分を補って余るどころか胃もたれするほどの仕掛けの数々。読み応え有。「百光」を読んだときにも思ったのだけど長編で読むとこの作家の作品はページ数以上の疲労が正直ある。むしろ本作品のほうが作品の規模が「百光」よりでかいので余計に。この作者の作品は本格ミステリとは違うので素直に騙されるために読むのが正解かもしれない。それにしても一つの誘拐事件で誘拐された人が三人とは。手段などは色々無理矢理感はあるけどその発想だけで感服。最終章は蛇足かもしれないけど、ボーナストラックみたいなものかと思ったり。