(080)恋文
- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/08
- メディア: 文庫
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マニキュアで窓ガラスに描いた花吹雪を残し、夜明けに下駄音を響かせアイツは部屋を出ていった。結婚10年目にして夫に家出された歳上でしっかり者の妻の戸惑い。しかしそれを機会に、彼女には初めて心を許せる女友達が出来たが…。表題作をはじめ、都会に暮す男女の人生の機微を様々な風景のなかに描く『紅き唇』『十三年目の子守歌』『ピエロ』『私の叔父さん』の5編。直木賞受賞。
内容(「BOOK」データベースより)
印象としては浅田次郎の「鉄道屋」+ミステリーみたいな作品。純粋なミステリ作品というより、話のスパイスとしてミステリ要素があるというか。連城ミステリを読む!という意気込みで読むと少し肩透かしかもしれない。最初の短編はどこでどんでん返しがあるのかと最後の一行まで怯えながら読んでた(笑)普通に恋愛小説として読めば佳作。ミステリ作家だけど純小説家みたいに色々描写が上手い作家だと思う。泣きたい時はパチンコを打ちに行って銀色の球が流れる様を涙に例える辺りとかは無機質なものをここまで感傷的に出来るかと驚いた。ミステリに関しては普段ミステリ読まない人からしたら十分驚く仕掛けだと思うけど、他作品の既読者としてはミステリパートに関しては全然全力じゃないだろ思ってしまうのがこの作者の怖いところ。全編楽しんで読めたけど連城作品では過剰なミステリにやっぱり翻弄されたいものです。