(072)青の炎(073)黒い家
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/12/10
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保険会社の営業職である若槻慎二は菰田重徳の家を訪れるが、そこで菰田家の子供が首を吊った状態で死亡しているのを発見してしまう。事件の疑いが濃厚な事案であったことに加え、菰田家には以前にも自傷とも疑われる不可解な保険金請求があったことから、若槻の保険会社では保険金の支払いを保留していたが重徳は執拗に支払いを求める。疑念を抱いた若槻は、一連の事件の首謀者を重徳と推測、妻の幸子に注意を促す匿名の手紙を送るのだが・・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E3%81%84%E5%AE%B6
- 作者: 貴志祐介,角川書店装丁室
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
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- メディア: 文庫
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湘南に住む櫛森秀一は名門高校に通う優等生。ある日、10年前に離婚した養父、曾根が現れた。家族を守るため、秀一は法的手段に訴えたが、大人の社会の仕組みは、秀一のささやかな幸せを返してはくれなかった。母親の体のみならず妹にまで手を出そうとする曾根に、ついに秀一の怒りは臨界点に達する。激しい怒りは、静かな激怒へ変わり青い炎が秀一の心に燈った。自らの手で曽根を殺害することを決心した17才の少年は、ある完全犯罪を計画する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E3%81%AE%E7%82%8E
丁度同じ時期に読んだので同時に。作品感想の前に作家感想。貴志祐介作品は現時点では5作品を読んで、その全ての作品のテーマや舞台はバラバラなのだけど全ての作品とも終盤で「走る」展開なのが面白いと思った。走るというよりは追いかけられる展開というか。本質的にはロジカルではなくフィジカルな作家なのかもしれない。あと、各作品ごとに主となるテーマがあってそれについての調査が非常に綿密。だからこそ寡作な作家なんだと思うが。作品というよりは調査結果として小説調にまとめた論文を読んでるような気さえする。また前に調査したと思われる知識が他作品にも生かされているのが面白い。「青の炎」で使用されていた殺害方法を読んでで「これ模倣犯出るんじゃないか?」と思ってたら後書きでしっかり「本作品で使用された手段では致命的な欠陥があります」と補足していたのが面白かった。あと表紙装丁写真が有賀幹夫だったのが少し意外。