(044)砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet

元々作品名だけは知ってたのだけど、最近何かを読んでいるときにそのタイトルのパロディを見かけて気になり読んでみた。最初は完全にミステリ作品だったと思ってたので最後になってあれ?という感じになってしまった。たしかにミステリ要素はいくつかあるのだけど、本作品の主軸というわけでも無い。「砂糖菓子の弾丸(で)は撃ちぬけない」ものは何かというのが大きなテーマになっている。ネタバレ的な話にはなるけど結局撃ちぬく対象となっているのは「現実(の困難)」であり、「砂糖菓子」は「現実からの逃避」という手段の比喩であり、作中でその対義として使用されている「実弾」は「現実を受け入れての取り組み」ということだろう。最後の結末は結構残酷ではあると思う。当然の帰結といえばそうなのだけど救いが無い。個人的には結構好きだけど。細かく指摘すれば彼女が何故嵐を予測できたのかなど、説明不足な箇所がいくつかあったように思うけど初期作品でそういう指摘は野暮だと最近思ってきた。その点は恩田陸の「六番目の小夜子」と似た感想。とにかくも2時間弱で最後まで一気に読みきってしまったので文章力は確かだと思う。桜庭作品は初読なので他の作品をいくつか読んでみたいと思った。