(144)キドリントンから消えた娘

キドリントンから消えた娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

キドリントンから消えた娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2年前に失踪して以来、行方の知れなかった女子高生バレリーから、両親に手紙が届いた。元気だから心配しないで、とだけ書かれた素っ気ないものだった。生きているのなら、なぜ今まで連絡してこなかったのか。失踪の原因はなんだったのか。そして、今はどこでどうしているのか。だが、捜査を引き継いだモース主任警部は、ある直感を抱いていた。「バレリーは死んでいる」…幾重にも張りめぐらされた論理の罠をかいくぐり、試行錯誤のすえにモースが到達した結論とは?アクロバティックな推理が未曾有の興奮を巻き起こす現代本格の最高峰。

モース警部シリーズ、というよりコリン・デクスター初読。本作の感想だけど2転3転どころか10転ぐらいしてるんじゃないのか。目まぐるしいまでの推理とその否定、トライアル&エラー。特に後半は凄い。また探偵役であるモースのキャラクターもユニークで秀逸。その推理手法は妄想警部といっていいんじゃないだろうか。粗野であるようで優しさもあり、女好きであるようで少し奥手という人間臭いキャラクター。とりあえず2枚目の手紙の真相に関しては実際に「オイ!」と声に出してしまった。随所で見られる言い回しもハードボイルドとコメディの中間な感じで結構好き。「ペンは剣より強し」のもじりは単純で下らないけど少し笑った。最後の最後がそれほど綺麗に落ちなかった(ように見える)のが若干残念。でも面白かったので余裕があれば次は「森を抜ける道」を読んでみようかと思ってます。
【採点】
★★★★★★☆☆☆☆(6)