(142)なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

牧師の息子ボビイは、ゴルフの最中に崖下に転落した瀕死の男を発見した。男はわずかに意識を取り戻すと、ボビイに一言だけ告げて、息を引き取った。「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」―幼なじみのお転婆娘フランキーとともに謎の言葉の意味を追うボビイ。若い男女のユーモアあふれる縦横無尽の大活躍。

内容がタイトルのインパクトに勝てなかったのではというのが読後直後の感想。解説でもあったアメリカでのタイトルの「The Boomerang Clue」ほうが内容とのリンクを含めてふさわしいように思う(結局自分も一番感銘を受けたのがエヴァンズが誰かというより米題が示唆している内容だった)けどたしかにインパクトは本タイトルのほうが手に取りたくなるかもしれない。タイトルや幼馴染の男女とのロマン冒険活劇という内容も含め最近の日本のラノベみたいだなと少し思った。というより日本の作家がリメイクしたほうが本国の作家陣より上手かったりして。ミステリとしての不満はそこまでないのだけど、最初の「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」とか一方的に話すとか今の作家がやったら叩かれるだろうなとか貴族階級に対しての警察や弁護士の口の緩さとか時代的なことが色々気になった。ミステリだけじゃなく色んな要素が入ってるザッツエンタテイメントの内容で人もさほど死なないから学校の図書館に置いておくには丁度よいミステリじゃないかと思ったり。余談としては有名な話だけど「愚者のエンドロール」の副題は本作の捩り。
【採点】
★★★★★☆☆☆☆☆(5。気分的には5.5)